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平成30年第3回3月楢葉町議会定例会 町長施政方針

2018年03月06日

平成30年3月6日

 

 平成30年第3回3月楢葉町議会定例会にあたり、各議案の審議に先立ちまして、私の町行財政運営に当たっての施策の一端を申し述べます。

 東日本大震災と原発事故から間もなく7年を迎えるとともに、平成27年9月5日の避難指示解除から2年半が経過いたしました。これまでの間、本町の復旧・復興に対しまして、議会議員の皆様を始め、国や県など関係者の皆様、そして町民の皆様方に多大なご理解、ご協力をいただき、改めて心より御礼を申し上げます。

 

 昨年は、4月に町復興計画に定める帰町目標を迎え、本町は本格復興期という新しいステージに入りました。その象徴ともいえるのが町内での小中学校とあおぞらこども園の再開であります。子どもたちが町に戻ってきたことで町全体が明るくなり、震災前の当たり前の風景を取り戻し、復興に向けて大きな一歩を踏み出すことができました。

 また、これまで進めてまいりました様々な復興事業が、着実に形となって現われてきた1年でありました。

 新生ならはプロジェクトとして進めている北田中満地区の「笑ふるタウンならは」においては、災害公営住宅123戸が全戸完成し入居が進むとともに、新たに17戸を建設し、こちらも間もなく完成いたします。商業施設と交流館は当初の予定よりも若干オープンが遅れる予定ではありますが、現在急ピッチで建設を進めております。竜田駅東側の開発についても、企業宿舎が全戸竣工するとともに、今年オープン予定である一の湯グループのホテルの建設が進むなど、新しい町の拠点となる姿が見えてまいりました。

 観光においては、7年ぶりにゆずの里ロードレース大会が復活したほか、サマーフェスティバルなど様々なイベントを開催し、町内外から多くのお客様が訪れました。また、観光拠点であるしおかぜ荘、サイクリングターミナルの利用客も徐々に伸びております。

 農業においては、昨年度再開しました水稲の面積を拡大し、収穫された米の放射線量は全て出荷基準値未満であり、昨年度に引き続き安全性が証明されました。また、農業経営の効率化のため、カントリーエレベーターや水稲育苗センターの建設に着手するとともに、新たな農作物としてサツマイモの実証栽培を実施いたしました。

 水産業においては、楢葉の宝である木戸川の鮭漁の復活を目指し、鮭のふ化、稚魚の育成に力を入れました。

 雇用や新産業においては、南工業団地や北部産業団地での企業立地の決定や操業開始が続き、再生可能エネルギーなど、イノベーション・コースト構想の受け皿として産業再生が進んでおります。また、楢葉新電力合同会社が運営する波倉メガソーラー発電所が完成し操業を開始いたしました。

 町民のコミュニティにおいては、行政区での花植えや美化活動、草刈などが行われるとともに、まなび館を中心に町民の様々なサークル活動が広がりを見せております。また、若者を中心としたグループが自発的に盆踊りや音楽イベントに取組むなど、町に活気と明るさが戻ってまいりました。

 生活環境においては、除染廃棄物の中間貯蔵施設及び特定廃棄物最終処分場への運搬等により、仮置場の廃棄物が着実に減少し、安心して生活していただくための環境回復が進んでおります。

 教育においては、役場内に中学生室を設置し、中学生の若い感性を町政に反映すべく意見交換を行うとともに、中学生自身がクラウドファンディングで資金を調達し、ウィンターイルミネーションで来場者にマミーすいとんやジェラートをふるまうという、全国的に見ても新しい取組も実施いたしました。

 このように、町民の皆様が安心して町に戻ることができるよう生活環境の整備を第一に進めるとともに、魅力ある町づくりに向けた新しい施策にも取り組んできたところであります。

 

  さて、本町は今月末で仮設住宅・借り上げ住宅の供与期間が終了するという大きな節目を迎えます。これまで、供与期間終了後の住居の確保について、県と連携しながら、意向調査や個別訪問を実施してまいりました。まだ4月以降の住居が決まっていない世帯もあることから、早急に新しい住居を確保していただけるよう、最後まで丁寧に相談対応を続けていく考えであります。

 一方で、楢葉町については、もはや避難生活の時期は過ぎ、自立して生活を再建する時期であると考えております。町としましては、楢葉における行政サービスを充実させることが第一と考え、いわき市と会津美里町に置いていた出張所を今月末で閉鎖することといたしました。

 昨年12月の住民意向調査では、約55パーセントの方が町に戻る、戻りたいとの意向を示し、約17パーセントの方が今はまだ判断できないとの意向を示しております。この約7割の皆様に安心して町に戻ってきていただくとともに、新たに楢葉町に住みたい、楢葉町で子どもを育てたいと思っていただけるような魅力ある町づくりを進めていかなければ、町の衰退は避けられないと強い危機感を持っております。

 

  町の財政状況を見ますと、国の支援等により財政指標は概ね健全な状況を確保しておりますが、人口の減少が見込まれることや、産業の再生が未だ途上であること、町民の生活再建の観点から各種減免措置を継続する必要があることなどから、自主財源の大きな伸びは期待できないものと考えております。また将来的に、福島第二原子力発電所の廃炉が決定された場合、町財政へ大きな影響が予想されます。これらの想定を踏まえ、健全な財政運営を図ると同時に、復興のために必要不可欠な事業には、国からの交付金等に加えて基金も積極的に活用し、大胆に投資を行うことで、この正念場を乗り切っていかなくてはならないと考えております。

 

 以上、申し上げたことを踏まえながら、これまでも重点施策として掲げてきた「教育」と「農業」を2本柱として平成30年度予算案を編成いたしました。その主要な事業について、町復興計画の施策区分に従ってご説明いたします。

 

 まず、「暮らしやすさを追求する」取り組みであります。

 魅力ある教育環境づくりのため、昨年再開した小中学校において、民間塾と連携した学習会の開催、情報通信技術を取り入れた最先端の教育などの取組みを継続するとともに、2020年から小学校でプログラミングが必修化されることを見据え、産学官連携によるロボット教育を実施し、日本一の教育環境を目指します。

 生涯学習環境の再生のため、町民みんなが先生になることを目標に、町民向けの様々な講座を「楢葉市民大学」として実施してまいります。

 町内での買い物環境の充実のため、「笑ふるタウン」の商業施設をオープンさせ、しっかりと運営してまいります。

 交通手段の確保のため、町内のタクシー補助制度を継続して実施いたします。

 町内で再開した事業者の支援と商業の活性化のため、昨年好評をいただいたプレミアム付商品券を引き続き発行いたします。

 次に、「これまで・現在とは違う新しさを目指す」取り組みであります。

 町の基幹産業である農業を再生するため、新しい農作物への挑戦として、サツマイモの栽培を企業とタイアップして本格的に開始し、新しい農業モデルの構築を図ります。また、昨年創設したいきいきアグリ復興基金を活用し、やる気のある営農者への支援を継続するとともに、農業の大規模化・法人化に向けた検討を進めてまいります。さらに、楢葉ならではの特産品づくりを進め、町内での販売や飲食店での提供に繋げていきます。

 若い世代の町内への定住を促すため、新婚世帯の新居の家賃や引越し費用等の一部を補助する「結婚新生活支援事業」を実施いたします。また、楢葉町に住宅を取得した子育て世帯等への「子育て世帯等住宅取得奨励金」の支給を継続して実施してまいります。

 より分かりやすく魅力ある情報発信を行うため、ホームページの全面改修を行うとともにSNSの活用を進めてまいります。

 交流人口の拡大を図るため、サマーフェスティバル、あるこう会、ゆずの里ロードレース、イルミネーションなど、町民と町外の方がともに楽しめるイベントを開催してまいります。また、Jヴィレッジの一部再開、新駅の設置といった動きに合わせて、Jヴィレッジ周辺の整備に着手するとともに、Jヴィレッジと連携してイベント等を実施し、楢葉の今の姿を全国に発信してまいります。

 再生可能エネルギーの推進のため、町内の施設に再生可能エネルギーを積極的に導入し、スマートコミュニティの構築を進めてまいります。

 次に、「更なる安全・防災を目指す」取り組みであります。

 町の防災体制を強化するため、町職員全員を消防団員とし、町民の安全・安心の確保に努めてまいります。

 町内での車両通行量の増加に対応し、道路ネットワークの確保を図るため、狐久保線をはじめとした町道の道路改良を進めてまいります。また、子どもを交通事故から守るため、道路へのセーフティゾーンの設置等を進めてまいります。

 森林が有する多面的機能を維持しながら放射性物質の低減及び飛散防止を図るため、原発事故により荒廃した森林の再生を進めてまいります。

 町内の安全確保のため、特別警戒隊によるパトロールを継続するほか、イノシシ等鳥獣被害防止の捕獲事業を継続して実施いたします。

 次に、「絆を保ち、被災生活を乗り切る」取り組みであります。

 いわき市内に仮設住宅等対策室を置き、当面の間、特定延長世帯等の相談業務を行うとともに、仮設住宅等を退去された世帯に生活再建給付金を交付し、自立した生活を支援してまいります。

 町民同士のつながりや絆づくりのため、一昨年に引き続き「町民号」を実施いたします。

 地域コミュニティの再生のため、行政区や民間団体が取り組む地域活動を支援する「心の復興事業」を継続して実施するほか、町内の美化活動等を通じた町民同士の交流の再生を図ります。

 最後に、「安心して暮らせる環境を作り出す」取り組みであります。

 放射線モニタリングや仮置場の監視、町民の追加被ばくの低減に向けた取り組みを継続して行い、安心の確保に努めてまいります。

 農業管理に支障が生じているため池の除染を継続して実施してまいります。

 高齢者等に対する緊急通報システムの貸出しや、自家用飲料水の安全を確保するための補助事業を継続して行います。

 以上、平成30年度予算案の主要な施策について申し上げました。

 

 復興・創生期間の終了まであと3年となり、これからの1年1年が極めて重要であると考えております。特に来年度は、仮設住宅等の供与が終了し、一定程度の町民が町に戻ることが予測され、本格的な復興に向けての本当のスタートである、正に勝負の年であると捉えております。

 楢葉町は全町避難をした自治体で最初に避難指示が解除され、いわば双葉郡の復興のモデルタウンとしての位置づけもございます。

 政府は、福島の原発災害からの復興に対しては最後まで責任を持って取り組む、と約束しておりますが、その履行を確実なものにし、後に続く町の復興の希望となるためにも、楢葉町は復興のフロントランナーとして、全力で走り続けていくことが求められております。

 行政と町民、事業者などが、それぞれの立場で、復興という1つの大きな目標に向かって力を合わせていかなければ、そのゴールにたどり着くことはできません。

 町といたしましても、あえて高い目標を掲げ、挑戦する姿勢を貫いていくことで、多くの方々から共感と応援を得ることができるとともに、町民の皆様にも復興の果実を実感していただけるものと考えております。

 単なる復旧に留まらない、新生ならはの創造を目指して挑戦し続けていくことが私に課せられた使命であるとの覚悟を持って、今後ともふるさと楢葉の復興、再生に取り組んでまいりますので、議会議員の皆様、そして町民の皆様のご支援、ご協力をいただきますようお願い申し上げまして、私の施政方針とさせていただきます。

 

 

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